がん検診について
森ノ宮胃腸内視鏡ふじたクリニック 院長の川口です。今回のテーマは「がん検診」です。
日本人の約2人に1人が、がんにかかります。(日本人が一生のうちにがんと診断される確率:男性65.5%、女性51.2%)
毎年約86万人が新たにがんと診断されています1)。出生人数が80万人を切ったというニュースがありますが、生まれる赤ちゃんよりも癌になる人のほうが多いのです。
「がん」と聞くと怖いイメージを持たれるかもしれません。しかし、昨今の医療の進歩により早期であれば治癒できるがんも増えてきており、今まで以上に早期発見が大切になってきています。
そこで今回は「がん」を見つける糸口となる「がん検診」についてお話します。特に当クリニックで専門としている「胃がん」、「大腸がん」については患者様からよくある質問も交えてお伝えしていきます。
国が定める5がん検診
日本では胃がん、大腸がん、肺がん、乳がん、子宮頸がんの5つのがん検診が推奨されています。下の表をみると日本人に多いがんが対象となっていることが分かります。
がん罹患数の順位 | 1位 | 2位 | 3位 | 4位 | 5位 | |
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総数 | 大腸 | 肺 | 胃 | 乳房 | 前立腺 | |
男性 | 前立腺 | 大腸 | 胃 | 肺 | 肝臓 | |
女性 | 乳房 | 大腸 | 肺 | 胃 | 子宮 |
1)2019年調査 国立がん研究センターがん情報サービスより
がん検診ってどうやったら受けられるの?
がん検診には大きく分けて「任意型検診」と「対策型検診」があります。
「任意型検診」とは人間ドックなど自分の意志でうける検診です。検査費用は自己負担(自費)ですが検査方法は自由に選択することが可能です。(会社などの事業主や保険者が福利厚生の一環として金額を補助してくれていることもあります。)
検査の予約は受けたい施設ごとに連絡していただくか、人間ドックの予約を斡旋しているサイトを通して可能です。
当クリニックでは検診の胃カメラ、大腸カメラを行っています。直接電話でご相談いただくか、斡旋業者「MRSO」のサイトからご予約下さい。
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「対策型検診」とは市区町村単位でがんの死亡率を下げることを目的として公共政策として行っている検診です。
一般的には厚生労働省の定める検査内容や検査間隔でおこなわれることが多いですが市区町村によってはそれ以外の検査を行っているところもあります。
また、金額もお住まいの市区町村によって異なります。各自治体のがん検診窓口の検索には下記ホームページが便利です。
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厚生労働省の勧める検診内容 胃がん 大腸
がん肺がん 子宮頸がん 乳がん 検査内容 胃カメラ
胃バリウム便潜血反応 レントゲン
喀痰細胞診細胞診
内診
コルポスコープマンモグラフィー 対象年齢 50歳以上
(バリウムは40歳)40歳以上 40歳以上 20歳以上
女性40歳以上
女性受診間隔 2年に1回
(バリウム1年に1回)1年に1回 1年に1回 2年に1回 2年に1回
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胃がん検診について
胃がん検診には、ABC検診(血液検査:ピロリ抗体とペプシノーゲンを測定)、腫瘍マーカー(血液検査:CEAやCA19-9など)、マイクロアレイ(血液検査:がん細胞を攻撃する免疫細胞のmRNAを測定)やN-NOSE(尿検査:線虫によるがんリスク検査)など色々あります。
しかし、これらはいずれも胃がんのリスクをはかる(胃がんになっている可能性が高いかどうかを調べる)ための検査です。
今あなたが胃がんにかかっているかを調べる検査としては、胃バリウム検査と胃カメラになります。(詳細は別記事「胃がんのバリウム検査 vs 胃カメラ検査」をご参照ください。)
市町村の胃がん検診では、40歳以上の方で年に1回のバリウム検査が推奨されています。
また自治体によっては、50歳以上の方で2年に1回の胃カメラ検査を行うこともあります。(当院は、自治体の胃カメラ検診は行っておりません)
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大腸がん検診について
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大腸がん検診では便潜血反応検査(便に血が混ざっているか否かを調べる方法)で行います。方法は非常に簡単です。検査キットを渡されますので、自分の便を2日に分けて計2回採取し、専用の容器に入れて提出するだけです。身体に負担はありません。
便の中に血の成分(ヒトヘモグロビンに対する抗体)が入っているか否かを特殊な試薬で見つけます。2回のうち、1回でも血が混じっている場合には陽性となり、大腸カメラ検査が必要になります。便潜血検査が陽性になった場合、約3%で大腸がんがみつかるといわれています。
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よくあるご質問
胃カメラって毎年受けないといけないの?
健康な方で、胃がん検診目的で行う検査間隔は50歳以上の方なら2年に1回です。しかしピロリ菌などが原因で高度の萎縮性胃炎と診断された方は年率0.31%で胃がん発症を認めるという報告があります。そのため、当クリニックではピロリ菌の感染があった方(現在感染している人、過去に感染していた人)には1年に1回の胃カメラを勧めています。なお、ピロリ菌除菌後の方や、胃バリウム検査で異常が指摘されて胃カメラを受ける場合は保険適応となります。
ピロリ菌の除菌が成功後も、胃カメラは必要なのでしょうか?
ピロリ菌は2~5歳で感染しています。例えば40歳で除菌したとしても、すでに35年間ピロリ菌が胃に炎症を及ぼしています。たとえピロリ菌がいなくなっても、今まで荒らされた胃粘膜は残っています。そのため除菌成功後でも荒らされた胃からがんが出現することがあります。
3か月前に大腸カメラで異常がありませんでしたが、また便潜血反応が陽性でした。大腸カメラは受けないといけないでしょうか?
直近で大腸カメラを受けていらっしゃるようなら、その短期間で大腸がんが出現している可能性は低いと考えます。ただし、大腸カメラではひだ裏など見えていない部分もあります。(報告では10~20%で見えていない部位があると言われています) 詳しくは大腸カメラ検査をした先生にも相談しておきましょう。もし大腸カメラを受けないとしても、便潜血検査は年に一度は受けるようにしてください。
便潜血検査が陽性になりましたが、痔があるからだと思います。大腸カメラはやらなくてもいいでしょうか?
もちろん、痔による影響も考えられます。しかし痔があるからといって、大腸がんの可能性が否定できたわけではありません。「目で見える出血(肉眼的出血といいます)を痔だと思っていたら直腸がんが見つかった」なんてこともありますので、痔のせいだと決めつけずに大腸カメラをうけるようにしましょう。
最後に
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最後まで御覧いただき有り難うございます。
コロナ禍の影響により、我々の健康意識にも変化があったといわれています。ステイホームなどで運動不足を意識するようになり、免疫力をたかめるための食事にも意識が向けられました。
一方コロナ禍で検診を行わなかった医療機関も多く、検診を受けていない方が多くおられます。それは、つまり「本来もっと早く検診でひっかけてがんと診断のついた」患者さんが、がんの発見が遅れてしまったということを意味します。
がんは早期発見、早期治療が非常に大切です。進行がんで見つかった方にお話を伺うと、「がん検診はやらなきゃと思っていたけど、つい後回しに」「初めての検査だから怖くて症状がでるまでのばしてしまいました」と言う声がよくきかれます。と同時に「もっと早くうけていれば」という声も耳にします。自分の体は自分の大切な資産です。そして一番自分の身体を気にしてあげられるのも自分です。
感染の予防にマスクをするように、がんに対する予防のためにがん検診も一度見直してみませんか。
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大阪本町胃腸内視鏡クリニック
堺筋本町駅前にある内視鏡専門クリニック 2022年オープン森ノ宮胃腸内視鏡ふじたクリニックの2号店となります。
鎮静剤麻酔、鎮痛剤を使用した無痛内視鏡(寝ている間に胃カメラ、痛くない大腸カメラ)を行っています。
大腸にポリープがあれば、その場で切除(日帰りポリープ切除術)も行っています。忙しいサラリーマン、主婦の皆さんのために、胃カメラと大腸カメラを同日に行うことも可能です。 -