大腸がん検診
便潜血検査は、大腸がんの検診として行われます。
通常大腸粘膜から出血することはありませんが、大腸ポリープやがんから血が出ることがあります。
便をこすって、その中に血液が付着していないかを調べるのが便潜血検査です。2日にわたって検査をします。これは、大腸がんなどから必ず毎回出血するわけではなく、出たり出なかったりするためです。
肉眼的に分かる出血はもちろん、目では見えないような量の出血でも便潜血検査では指摘されます。
免疫学的検査法
現在 便潜血検査のほとんどが免疫学的検査法で行われています。
これはヒトヘモグロビンに対する抗体を利用した検査であり、例えばお肉や魚の血液を食べても引っ掛かりません。
また胃酸で血液のヘモグロビンで変性してしまうため、食道や胃からの出血では反応しません。
したがって、便潜血検査で陽性となった場合や、大腸か肛門からの出血を疑います。
大腸がん
大腸がんは、年間約16万人(2019年 男性8.8万 女性6.8万)が罹患され、この数字はすべてのがんの中で第一位の多さです。大腸がんは40代から増加します。
したがって、40歳になると便潜血検査を受けることが推奨されます。
大腸がんは早期発見、早期治療することで、大きく予後を改善させることができます。一方で進行すると予後は他のがんと同様厳しいものがあります。
(大腸がんのステージごとの5年生存率はステージⅠ:95% ステージⅡ:88.5% ステージⅢ:76.6% ステージⅣ:18.5%)
大腸がんの可能性
便潜血検査を受けられた方のうち、大腸がんが発見される可能性は0.1~0.15%とされています。
便潜血検査を1000人が受けると、50~100人の方が陽性になります。そのうち1~2人に大腸がんが見つかる計算になります。
便潜血陽性のうち、大腸がんが発見される確率は約3%です。裏を返せば、便潜血陽性でも97%の人は大腸がんではありません。
7割の方は、痔からの出血や、明らかな異常がないことがあります。
1000人中1~2人だけと少ないように思われるかもしれませんが、この便潜血検査を受けることで、大腸がんによる死亡を60~80%減少させる効果があります。
便潜血で陽性だったら?
便潜血で陽性と判定されたら、大腸の精密検査が必要となります。
その精密検査は大腸内視鏡検査になります。大腸の中を内視鏡で直接観察することで、ポリープやがんがないかを確認する必要があります。
時々、「もう一度便潜血検査をして陰性なら、様子を見たい」という方がおられますが、大腸から出血することが異常であり、再度便潜血検査をする意味はありません。
また大腸内視鏡検査以外の方法として、注腸検査(大腸のバリウム検査)や大腸CT検査がありますが、現在のところ大腸内視鏡検査ほど精度は高くなく、また大腸ポリープがあっても切除することができません。
便潜血で陰性だったら心配ないのか?
大腸がんでも出血していなければ、便潜血陽性とはなりません。いろいろな報告がありますが、進行大腸癌でも30%程度は陰性と診断されます。(偽陰性)
早期大腸がんであれば50~70%が陰性という報告があります。
便潜血検査が陰性であっても、お腹の張りや便が細くなってきたなどの症状がある方は大腸内視鏡を検査を受けておいたほうがいいでしょう。
大阪本町胃腸内視鏡クリニック
堺筋本町駅前にある内視鏡専門クリニック 2022年オープン森ノ宮胃腸内視鏡ふじたクリニックの2号店となります。
鎮静剤麻酔、鎮痛剤を使用した無痛内視鏡(寝ている間に胃カメラ、痛くない大腸カメラ)を行っています。
大腸にポリープがあれば、その場で切除(日帰りポリープ切除術)も行っています。忙しいサラリーマン、主婦の皆さんのために、胃カメラと大腸カメラを同日に行うことも可能です。