大阪本町胃腸内視鏡クリニック 院長の藤田です。
今回のテーマは「便秘に効く食事」です。
外来診察で、本当に多くの方が便秘で悩まれています。「便が全然出ない」までいかなくても、お腹がスッキリしない、以前のようにスッと便が出ない、排便後も便が残っている感じがする、という方もおられます。
今回は診察の時に患者さんに説明する内容をまとめてみました。最後に便秘に効く食材も記載していますので、最後までご覧ください。
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便秘とは
便秘には定義をご存知でしょうか?
「数日間便が出ないのが便秘じゃないの?」実はそうではないのです。
便秘とは「本来、体外に排出すべき糞便を十分量かつ快適に排出できない状態」と定義されています。早速難しいことが書いていますね…。分かりやすくいうと「たくさんのウンチがスッキリ出ること」です。
これをさらに解説すると、例えばダイエットをして便があまり作られずに便が出ない事は便秘ではありません。また1~2日に1回便があっても残便感があるようでは便秘ですし、逆に3日に1回でもスッキリしていれば便秘ではありません。便秘の定義には「快適」と言われるようにスッキリ感という主観が入っているのです。確かに「便が出ずにスッキリせずに憂鬱」という気持ちはよく分かります。
上記の説明が少し分かりにくければ、便は1~2日に1回、バナナ1~2本分の便が出る、ということを参考にしていただいてもかまいません。
便は量が多いほど出しやすくなります。便秘の解消には、まず便をしっかりと作ることが第一歩です。ではどうしたら ウンチの量が増えるのでしょうか?
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ウンチの中身
皆さんは、「ウンチ=食べ物の残りかす」 と思われていませんか?
間違ってはいませんが、食べ物のカスは便の一部にすぎません。
ウンチの70%は水分で、残り30%が固形分になります。
固形分は大きく①食物繊維などの食べ物のカス②腸内細菌③腸粘膜と考えられています。
固形成分のうち「食べ物は1/3だけで 2/3は腸内細菌や腸粘膜」という事です。
実際入院して絶食で食事をとっていない患者さんでも、ウンチは出ます。
便を作るには①食物繊維を増やすこと ②腸内細菌を増やすことが重要です。
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食べ物
食事では食物繊維を十分摂取することが重要です。
食物繊維は消化されず、ウンチのかさが増すためウンチが出しやすくなります。他にも、消化をゆっくりすることで血糖値の急上昇を抑える作用もあります。
また最近注目されているものに「短鎖脂肪酸」があります。
短鎖脂肪酸は酢酸、プロピオン酸、酪酸などが含まれます。
短鎖脂肪酸は、大腸で食物繊維が腸内細菌は発行することで産生されます。
生成された短鎖脂肪酸は大腸粘膜から吸収され、上皮細胞の増殖やエネルギー源として利用されます。
また腸内を弱酸性にすることで有害な菌を抑える作用があったり、大腸粘膜を刺激して蠕動を促進する、免疫反応を制御するなど、様々な機能があることが分かってきました。
その食物繊維には不溶性のものと、水溶性のものがあります。
不溶性食物繊維は、おそらくみなさんが想像される「繊維」であり玄米や根菜類やキノコに多く含まれるものです。
不溶性繊維は便のカサを増やし、腸を刺激することによって排便を促します。
一方、水溶性繊維は海藻類やゴボウ、イモ類などに多く含まれます。水溶性繊維は粘着性のため糖分の吸収を緩やかにし、急激な血糖値の上昇を抑えます。
また大腸内で発酵・分解されると善玉菌を増やして腸内環境を整えます。
不溶性の食物繊維は摂りすぎると便が硬くなることがあるため、硬いウンチの人は水溶性繊維をしっかり摂る事が大切です。
バランスよく摂ることが大切です。(不溶性と水溶性のバランスは2:1が理想的とされています)
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水分について
実は口から取った水分のうち、便に入るのはわずか1~5%程度と考えられています。
つまり、ほとんどが便にならず、小腸を中心に吸収されて尿や汗として出て行きます。
よく便を出すために水分を2L以上取っている方がいますが、効果はあまりないと考えられます。
ただ、朝起きてすぐに水分を取ることで胃腸反射が起こり腸が動くとされ、大腸にたまった便が出しやすくなると考えられています。
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腸内細菌を増やす
発酵食品(乳酸菌):
動物性と植物性がありますが、お勧めは植物性乳酸菌です。動物性の乳酸菌は胃酸や腸液で死んでしまう事が多く、大腸に届きにくいためです。(ただし、死んでしまった菌であっても腸内細菌のエサになり環境を整えると考えられており、全くの無駄になるわけではありません)
植物性乳酸菌は、味噌や醤油、日本酒などに含まれています。他にもキムチなどにも含まれています。
オリゴ糖:
善玉菌であるビフィズス菌の栄養源になります。玉ねぎ、バナナ、リンゴ、ハチミツなどに多く含まれます。お店でも「オリゴ糖」で販売されています。
ただし、摂りすぎると浸透圧を増やすため下痢を起こすことがあり、適度に摂取することが重要です。
そのほかの食事
オリーブオイル
オリーブオイルは他の油と違い、小腸で吸収されにくく大腸に届きやすく、腸の動きをよくしたり、便に油が付くことで出しやすくなると考えられています。
またオリーブオイルに含まれるオレイン酸は悪玉コレステロールを減らす働きがあります。
オレイン酸はナッツやアボカドにも多く含まれています。
マグネシウム
マグネシウムには、腸内に水分を引き込んで便を柔らかくする作用と、腸の動きを良くする作用があります。
病院でも「酸化マグネシウム」「マグミット」と処方されることの多いお薬です。
ほうれん草やひじき、豆腐(にがりの成分)、納豆などに多く含まれます。
マグネシウムは水溶性食物繊維と一緒に摂ると、よりその効果が発揮されます。
ビタミンC
腸の蠕動を盛んにする作用があります。
またフルーツには水溶性繊維を豊富に含む食材が多くあります。
便秘対策は食事だけではありませんが、食事の事はとても大切です。
そして食事は便秘だけでなく、いろんな病気と関係してきます。
最近でも、テレビでよく「腸内細菌」という言葉を耳にするようになりました。
今回は「便秘」がテーマで食事の事を説明しましたが、他にも糖尿病や高血圧で注意する食事もあり、どれかに偏ることなくバランスよく食事をすること、そして楽しく食事をすることが大切ですね。
便秘予防のための生活習慣
まず朝食は摂るようにしましょう。朝は腸が一番蠕動運動を活発にさせる時間です。
朝起きて、胃の中にモノが入る事によって、胃腸反射が起こり、寝ている間に腸の下の方に貯めていたウンチを出そうと働きます。
起きて コップ1杯の水を飲むだけでも腸を刺激し、便秘の解消につながります。
大阪本町胃腸内視鏡クリニック
2022年開業 大阪 堺筋本町⑨出口すぐの内視鏡専門クリニック(森ノ宮胃腸内視鏡ふじたクリニックの分院)
鎮静剤麻酔を使った苦しくない胃カメラ、痛くない大腸カメラを行っています。
胃がんの撲滅のためにピロリ菌治療、大腸がんの撲滅のために大腸ポリープ手術(日帰り)を積極的に行っています。
また2023年6月より肥満外来を行っています。
肥満は生活習慣病の原因となるだけでなく、がんのリスクを高めることも分かっています。
森ノ宮胃腸内視鏡ふじたクリニック
鎮静剤を使った楽な胃カメラ、鎮痛剤を使った痛くない大腸カメラをしている内視鏡専門クリニックです。2016年に開業し、年間約4000件の内視鏡検査を行っています。
JR森ノ宮駅直結、地下鉄森ノ宮駅から徒歩3分の好立地、大阪市内で京橋、玉造、東大阪からもアクセス良好です。
初めての検査で不安なかたや、他の病院でしんどかったかたは、ご気軽に相談下さい。
当院では、積極的に胃腸に関する情報を提供しています。
日常生活にお役立ちする情報ですので、是非ともごらんください。