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2023.08.10

脂肪肝の診断と治療

大阪本町胃腸内視鏡クリニック 院長の藤田です。
今回は当院でのYouTubeでも反響の大きかった「脂肪肝」について徹底解説を行います。

  • 脂肪肝について詳しく解説

  • 脂肪肝とは?

  • 脂肪肝とは、肝臓に中性脂肪がたまった状態をいいます。余分な糖分や脂質が中世脂肪に変換され、肝臓に蓄積されます。

 

  • 脂肪肝の原因

原因としては、有名なものは、やはりお酒の飲みすぎです。
そのほかに、カロリーの摂りすぎや、それに伴う肥満、運動不足などがあります。
それ以外には、やせすぎや、薬剤(ステロイドなど)の副作用で脂肪肝になる事があります。
これらのように、脂肪肝の原因は一つではなく、複数の要因で引き起こされることがあります。

  • 脂肪肝の種類

    脂肪肝のうち、アルコールが原因(1日エタノール換算で、男性が30g 女性が20g以上)で炎症を起こしたものを「ASH(アッシュ:アルコール性脂肪性肝炎)」と言います。

    脂肪肝のうち、アルコールが原因でないものを「NAFLD(ナッフルディー:非アルコール性脂肪性肝疾患)」と言います。
    アルコールをほとんど飲まなくても、肥満や糖尿病、脂質異常症、運動不足などによって肝臓に脂肪がたまることがあります。メタボリックシンドロームの肝病変として注目されています。
    その中で、あまり病態が進行しない「NAFL:ナッフル 非アルコール性脂肪肝」」と、炎症を起こして肝硬変や肝臓がんに進行するものを「NASH(ナッシュ:非アルコール性脂肪肝炎)」と言います。脂肪肝から肝臓がんが発生する率は0.044%/年ですが、NASHからは0.529/年とNASHは肝臓がんのリスクが高くなります。またNASHは、糖尿病や脳血管障害の発症率を上昇させ、肝臓以外の病気での生存率も低下させます。

    NASHは近年注目されている病気の一つです。

    • 脂肪肝の疫学

    脂肪肝は肥満の割合とともに増加しています。
    男性の3~4割、女性の1~2割が脂肪肝を認めています。

    • 脂肪肝の検査

    肝臓に脂肪がたまっているかどうかは、まずは腹部エコーで検査を行います。
    (近年では肝線維化を数値化できる腹部エコーが開発され、大きな病院で導入されていることがあります)
    また腹部CTMRIで脂肪肝を指摘されることがあります。(ただし脂肪肝の有無目的では、保険適応されない)

    一方、血液検査では「肝臓の数値に異常があるか」は分かるのですが、「肝臓に脂肪がたまっているかどうか」は分かりません。
    ただ、肝臓の機能を悪くさせる原因として、B型肝炎やC型肝炎、自己免疫性の肝機能障害が無いかを調べておく(鑑別する)ことは重要です。

    原因不明の肝機能障害の場合、肝生検(肝臓の組織の一部を採取し、顕微鏡で検査)を行うことがあります。ただし出血などの合併症もあり、一般的には入院して行われます。

    • 脂肪肝の症状

    脂肪肝では症状が出ることはありません。

    多くの場合は、健康診断のエコーで脂肪肝を指摘されたり、血液検査で肝臓の数値が上がっておりエコーをしたら脂肪肝だった、ということがあります。
    脂肪肝から肝硬変にまで進展すると様々な症状が出ます。黄疸や、腹水、腹部膨満感、全身倦怠感、食欲低下などの症状が出ることがあります。

    • 脂肪肝の治療

      まずは生活習慣の改善、食事や運動療法を行います。肥満を伴う方は減量が必要です。
      具体的には、アルコールを止める、控えること、脂質や糖質の多い食事を控えること、タンパク質、脂質、炭水化物のバランスの取れた食事をとることがあげられます。

      その中でも脂質を制限することが勧められます。(エネルギー摂取量 25~35kcal/kg/日 脂質はエネルギー摂取量の20%以下に制限)

      例えば 身長170cmの場合、理想体重はBMI221.7×1.7×2263.58
      エネルギー摂取=63.58×30=約1900kcal 脂肪分は1900×20%380kcal/日に抑えることをお勧めしています。
      また食物繊維をしっかり(125g程度 日本人平均の1.5倍)摂ることにより、余分な糖質や脂質を便と一緒に出す作用が期待されます。
      運動療法では、130分の歩行(有酸素運動)を週5回行うことが推奨されます。
      肥満がある方は、適正体重(BMI22~25)になるようにダイエットする必要があります。

      これらの食事や運動療法でも、糖尿病、脂質異常症、高血圧症が改善しない場合には、薬での治療を行います。

      • 最後に

       昔は、脂肪肝といえばアルコールを飲む人がかかる病気というイメージがありましたが、現在ではお酒を飲まないひとでも脂肪肝、脂肪肝炎を起こし、肝硬変や肝臓がんになる事が分かっています。
      「たかが脂肪肝」と放置せずに、悪くなる前にしっかりと治しておく(生活習慣を見直す)ことが重要です。

      大阪本町胃腸内視鏡クリニック

      2022年開業 大阪 堺筋本町⑨出口すぐの内視鏡専門クリニック(森ノ宮胃腸内視鏡ふじたクリニックの分院)
      鎮静剤麻酔を使った苦しくない胃カメラ、痛くない大腸カメラを行っています。
      胃がんの撲滅のためにピロリ菌治療、大腸がんの撲滅のために大腸ポリープ手術(日帰り)を積極的に行っています。
      また2023年6月より肥満外来を行っています。
      肥満は生活習慣病の原因となるだけでなく、がんのリスクを高めることも分かっています。

       

      森ノ宮胃腸内視鏡ふじたクリニック

      鎮静剤を使った楽な胃カメラ、鎮痛剤を使った痛くない大腸カメラをしている内視鏡専門クリニックです。2016年に開業し、年間約4000件の内視鏡検査を行っています。
      JR森ノ宮駅直結、地下鉄森ノ宮駅から徒歩3分の好立地、大阪市内で京橋、玉造、東大阪からもアクセス良好です。
      初めての検査で不安なかたや、他の病院でしんどかったかたは、ご気軽に相談下さい。

       

      当院では、積極的に胃腸に関する情報を提供しています。
      日常生活にお役立ちする情報ですので、是非ともごらんください。

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