増えている大腸がん
近年、食の欧米化(肉の摂取、アルコール、野菜不足)や肥満の増加に伴い、大腸がんになる人や亡くなる人が増えています。
日本では、がんになる人の中で大腸がんが1位で年間13万人以上、がんで亡くなる人の中で大腸がんが2位で年間5万人が亡くなっています。
年齢ごとにみると、50歳を超えると大腸がんにかかる人が急増します。 また男性は女性の2倍、大腸がんにかかります。
大腸ポリープと大腸がん
大腸がんの発生には、2通りのでき方があります。
- ポリープが大きくなって、その表面にがんが発生して大きくなる(腺腫→がん)
- 正常の大腸粘膜から、突然がん細胞が発生して大きくなる(デノボがん)
多くは①のパターンで大腸がんが起こると考えられています。
良性のポリープが大きくなると、ポリープの表面からがん細胞が出てきます。
そして、がん細胞が粘膜に浸潤すると、血管やリンパ管を通じて全身(肝臓や肺など)に広がります。
大腸がんになる前の良性のポリープの段階で切除する事で、大腸がんになるリスクを軽減できます。
大腸がんの症状
早期のがんの場合、自覚症状はほとんどありません。 がんが進行するにつれて、次のような症状が現れます。
- 排便の変化→血便/下血/便が細くなる/便秘/便回数が増える
- お腹の変化→膨満感がある/腹痛/残便感がある/しこりを触れる
- 全身の変化→貧血/体重減少
大腸がんの予防
予防には1次予防と2次予防があります。 1次予防は「がんになりにくい体質づくり」をすること。2次予防は「早期発見と早期治療で、がんによる死亡を抑える」ことです。
1次予防としては食生活の改善(野菜を多く摂ること)や運動(1日20分以上歩くこと)などがあります。(ただしこれだけでは十分ではありません。)
加えて2次予防では、便潜血検査を受けることがあげられます。便潜血検査を年1回受ける事で、死亡率を60~80%下げることが報告されています。
便潜血検査で陽性が出れば、大腸カメラを受けて、大腸ポリープがないか確認することが大切です。ポリープがあれば良性のときに切除しましょう。
便潜血検査についてこちらで詳しく解説しています。
大腸がんのよくあるご質問
大腸がんは20代でも発症することがあるのでしょうか?
稀ですが、20代でも大腸がんが発症することがあります。
大腸癌は40代から罹患率が増加します。遺伝性大腸がん(リンチ症候群や家族性大腸腺腫症)や潰瘍性大腸炎では、若くても大腸がんが発症することがあります。
大腸がんのリスク因子は?どんな人に多いのでしょうか?
大腸がんのリスク因子としては【年齢(50歳以上)】【大腸がんの家族歴】があります。
生活習慣については、【高カロリー摂取および肥満】【過量のアルコール】【喫煙】が報告されています。
大腸がんが発見されるきっかけは?
早期大腸がんではほとんど症状がないため、大腸がん検診である便潜血検査が陽性となってわかることがあります。
大腸がんが進行すると出血や腸が狭くなるため、血便、便が細い、便がすっきり出ない、便秘などの症状で発見されることがあります。